今日、ビートルズの元メンバーらがオーナーのレコード会社、英アップルが、米アップルコンピュータが手がける携帯音楽プレーヤー「
iPod」などへの楽曲配信事業に対し、リンゴの商標の使用差し止めなどを求めていた訴訟で、英高等法院は8日、英アップルの訴えを退けた。「『リンゴ』を使った音楽事業はしないとの合意に反する」「データ配信にすぎない」などと対立していた。判決は「ロゴ使用は販売に関するもので、創造力をともなう音楽そのものには関連していない」とした。英アップルは控訴する方針。(asahi.com)
アップル・コープスは1968年にビートルズが創設。当初よりグラニースミスと呼ばれるオーストラリア原産の青リンゴをモチーフとしたロゴを使用してきた。一方のアップルコンピュータは1976年に創業。右側に一口かじった跡のある、横縞6色のカラフルなリンゴのマークがロゴとして長らく愛用されてきた(現在は単色エンボス地のデザイン)。
リンゴを企業の顔とする“アップル”同士の闘いは、アップルコンピュータの創業時から始まっていた。アップル・コープスは“アップル”を企業名に使ったことに関してアップルコンピュータを相手取り訴訟を起こし、アップル・コープスは高額な和解金と引き換えに、アップルコンピュータが“アップル”の名を企業名とコンピュータ製品に使用することに同意。(ただし、音楽市場に参入しないことが条件)
1991年には両社の間で商標契約が結ばれ、それぞれに“アップル”の名称とロゴを使用できる分野が定められた。このとき、アップルコンピュータは音楽を配信するためのデバイスとソフトウエアに、アップル・コープスは楽曲の制作と販売に“アップル”という名称を独占的に使う権利が認められた。
そして今回、この契約締結後にアップルコンピュータが始めた音楽配信サービス、
iTunes Music Store(iTMS)で“アップル”の名称とロゴを使用することは契約違反に当たるとして、アップル・コープスが再び訴訟を起こした。契約上では、アップルコンピュータが楽曲をテープやCDなどの物理メディアに収めて配布することは、音楽事業とみなされ、禁じられている。アップル・コープスは
iTMSがハードディスクという物理メディアを使用した楽曲配布に該当するとし、契約違反行為とみなして、損害賠償およびアップルコンピュータの音楽配信事業でのリンゴのロゴ使用差し止めを求めた。
しかし、英高等法院のエドワード・マン判事は、この訴えを棄却。アップルコンピュータはコンテンツの一次提供者ではなく、データを転送しているに過ぎないとして、
iTMSでのリンゴのロゴ使用は正当であるとの判決を下した。これにより、アップルコンピュータは
iTMSと同サービスの広告で、リンゴのロゴを使い続けることが可能となった。
この結果は立場によって見解が違うので、判決に関しては意見が分かれると思います。個人的には
iTMSから既に広く認知されているリンゴが消えなくて良かったと思います。
この件に限らず、様々な企業間で様々な商標や意匠の訴訟が今も継続されているでしょう。
今後は是非、
iTMSでビートルズの楽曲がダウンロード出来るように和解して欲しいものです。