andoo.jp / 新着情報 andoo.jp Journal
p Palermo〜Reggio di Calabria2004年03月23日(火) 
040323inter-city.jpg 202×280 13K南イタリア周遊、初めての雨。
"INTER CITY"は一等席で移動に少しの贅沢。広めのシートに電源付きでiBookの電池切れは心配無し。床にはカーペットが敷き詰められ、豆蔵もご満悦。シチリア島"Messina"からイタリア本土へ再びフェリーで渡り、"Villa San Giovanni"経由でブーツに形容されるイタリア半島の「つま先」部分にあたる街"Reggio di Calabria"に到着。雨は小降りだが、強い風で外歩きには気合いが必要。とりあえず駅に近いホテルに駆け込み、様子を見る。
設備が充実したホテルなら外出しなくても快適に過ごせるが、よりによって今回の旅行最安値一泊55Euroの部屋は寝るだけの安宿で、部屋でビールを飲んで時間を潰す程度。
雨上がりの寒い夜、閑散とした町でやっと見つけたリストランテは味も雰囲気も偶然当たりで、満席の店内は外の人通りからは想像できない賑わいだった。暖かい料理にありつけ、雨で冴えない一日も終わりが良ければ全て許せる。
予定外の延泊で日数がかさんでいるし、既に満喫の感もあり、今日明日の天候によってはそろそろローマに帰るのも良いか。

p Palermo2004年03月22日(月) 
040322palermo.jpg 206×280 31K晴れ。いつもより多く睡眠をとり、午前中にホテルを引越。再び彰子さんの部屋を訪れ昼食を食べて解散。我々はパレルモ散策。古い建物はアラブ風のものが多く、人もアフリカ系の人種が比較的多い。名所観光に興味が薄い我々は日が暮れるまで裏道歩きに終始した。新市街の都会的な町並みに対し旧市街には手つかずの廃墟も数多く、シチリアで最大の都市は町並みも生活も格差が激しい印象を受けた。実際、教育を受けない子供も居るそうで、確かに仕事をする子供の姿もあった。
市場(Mercart di Ballaro)は今まで見た中でも最大の規模で、路地をどこまで歩いても露店が建ち並んでいた。湿ってヌルついた路面と独特の生臭さには少々抵抗を感じるが、肉、野菜、魚などの食料を中心に衣料や雑貨までなんでも揃う。鮮魚店ではウツボや人の腕ほどの太さがある特大ウナギも売っている。肉店では皮を剥がれた子羊が吊り下げられそのまま切り売りされていたり、豚足ならぬ牛足が並んでいたり、かなりグロテスクな光景も多く。スーパーでパックに入った食料を買って食べる生活から比べるとかなり刺激的。ローマの市場でも羊の頭をそのまま売っている光景は見るが、売り方の力強さはこちらが上。何が見られるかドキドキしながら、適度な間隔にある八百屋を見るとホッとする。料理の仕方を知っていたら見るだけで楽しめるに違いない。
豆蔵が拾い食いをしないよう気を使いながら、露店がひしめく入り組んだ路地を歩きぬいた。夜のビールとKEBAB料理は締めて10Euro也。
明日は"Reggio di Calabria"

p Catania〜Palermo2004年03月21日(日) 
040321shasou.jpg 500×219 13K日曜日に大半の商店が休業するのはイタリアの通常。列車の本数も極端に減り、平日ならパレルモまで1本の列車で行くことが出来るが、今日は乗り継ぎのため1時間半の待ち合わせを強いられる。しかし、天気は快晴。じりじり照りつける日射しに夏を感じ、駅のホームで日光浴。走る列車の窓からは丘陵地帯にどこまでも広がる牧草地。青く抜けた空。遠くにはエトナ山が見える。小さな石造りの家が点々とあるだけで見渡す限りの緑。窓から吹き込む風は熱くもなく冷たくもなく、汽笛を鳴らして走る2両編成の列車の音以外には何も聞こえない。こんなに気持ちいい列車旅行があっていいのかと思うほど完璧な状況。5時間程の道中、夢の中に居たようだった。
さすがにパレルモに近づくと各駅からの乗客が増え、それまで独占していたボックスシートは満席になる。そして豆蔵は我々の足の下に押し込められ、名残惜しい夢から覚めてパレルモに到着。
予め予約しておいたホテルに荷物を置き、そのまま彰子さんのアパートに直行。歌の勉強のためパレルモに留学滞在中の彼女は日本で"プードル"1頭、"パグ"1頭、"ボルゾイ"2頭を飼う大の愛犬家。豆蔵は我々よりも熱烈歓迎され、今まで食べたことがない美味しいフードをご馳走になった。人間は手製のカレーをご馳走になり、犬話で深夜まで談笑。
移動に時間がかかって夜しか過ごしていないのでパレルモは延泊することにした。
外で過ごす時間が多く、豆蔵に動物臭がしてきた。

p Catania2004年03月20日(土) 
040320catania.jpg 210×280 14KSIRACUSA〜PALERMO間移動の乗り換え中継駅と考えていた"CATANIA"に予定外の宿泊。パレルモに続きシチリア第二の都市はさすがに今まで見なかった人の数で賑わっていた。南特有の煩雑さには既に慣れた感があるが、ここでも大通りに立ち並ぶ近代的な店舗に対し市場の喧噪や裏通りの寂れた雰囲気のコントラストには心引かれる。
この街はエトナ山の噴火で何度も火山灰に埋もれ、その度に再生を繰り返したそうだ。教会などを見ると土台と上ものの材質が違ったり形も所々ちぐはぐだったりしてその経緯がうかがえる。路面に敷き詰められた石畳は黒々した火山岩で町全体もどことなくモノトーンに見えた。
中心街の広場に面したホテルに部屋を取り、夜は生鮮市場の中にある「大衆食堂」のようなトラットリアで魚介料理。新鮮な鰯のマリネ、絶品は"ボラの卵パスタ"にトマトベースの"イカ墨パスタ"。ボラの卵(Bottarga)は通常薫製にして"からすみ"として食すが、ここでは日本で言う「たらこパスタ」風。毎度気になっていた塩気のつよさも無く、ひと皿6Euroも嬉しい値段。満腹で爆睡。

p Siracusa2004年03月19日(金) 
040319siracusa-.jpg 661×280 53Kシチリア島の東海岸に突きだした地形に位置する"SIRACUSA"はギリシア時代から栄えた歴史ある都市。ここも旧市街と新市街とが橋で繋がり、旧市街"Ortigia"は一周3km程の小さな島。旧市街に宿をとり、まずは町の散策。
広場や大通りは人が多く賑わっているが、裏通りは閑散としている。車が通り抜けられない路地も多く、交錯したその道筋はまるで迷路のようで、何度か方向を見失った。しかし、意図せず通り抜ける道筋は先が知れない楽しみがある。新しい町に着いたら地形とポイントをおおざっぱに把握し、あとは地図を見ずカンで歩き回るのがおもしろい。小さい島では迷っても真っ直ぐに進めばすぐ海岸にたどり着く。迷った道でも面白い風景は見つかるものだ。
快晴。乾いた空気。白い砂埃を巻き上げ走る車。なぜか町全体が埃っぽく石畳の路面にはうっすら石灰が引かれて居るように見える。この気だるい雰囲気は南国共通のもの。
鮮魚が多い市場には威勢のいいかけ声が飛び交い、道売りの魚は路面に敷かれたビニールに直接広げられる。ルールが無いようでいて漠然と有り、合理性が無いようでこれも有る。その言いようのない突進感には圧倒される。
当然、魚介料理は旨い。南の味付けは塩味が強い気はするが。

新市街の北にある"ネアポリ(Neapoli)考古学公園"では世界最大の古代劇場"Teatro Greco"が圧巻。ギリシア時代の石切場の隣にあり、紀元前5世紀のシラクーサ全盛のもの。ローマのコロッセオもすごいが、この劇場は大地の岩盤を彫りだして造られていることに感激した。デカイ、しかも2,500年前。ギリシア人はスゴイ。

p Taormina2004年03月18日(木) 
040318taormina.jpg 210×280 20K"MESSINA"から各駅停車で"TAORMINA"まで1時間。その間、列車の窓からは常に海を見ることが出来る。晴れた空に雲は無く、海の青に対し丘の景色は眩しいほどの新緑に包まれる。タオルミナは映画「The Grand Blue」の舞台。切り立った岩場に張り付くように建つホテルや住居、複雑な形状の海岸線。雪を被ったシチリアの最高峰"Monte Etona"が白い蒸気を上げているのも見える。まだ本格的なシーズンはこれからだが、好天続きのせいかこの景色を見るためか、すでに訪れた観光客で賑わっていた。しかし、名所見物だけでなく「田舎の海」の雰囲気と現地の生活感が混在してるので、適度に散策が楽しめる。海の近くは居るだけで気持ちがいいし、強い日射しのせいか見るもの全てがきれいに見えた。人々の肩の力が抜けているので、こちらも気楽でいられる。紀元前3世紀の建造の野外劇場"Teatro Greco"では豆蔵を交え昼寝2時間。日焼け。脱力。
暖かい気候で、既にバールの外席も賑わっている。ここでは何もせずただのんびりするのが気持ちいい。
都会で現在の美術やデザインを見て刺激されるのも大切だが、立ち止まって自然や異文化の現実に触発されるのが自分の本質なのではないかと自己反省。
機会があったら、ぜひ安宿で長期滞在したい場所。観光ではなく休養で。

p Messina2004年03月17日(水) 
040317to-nessina.jpg 208×280 12Kイタリア半島からシチリア島まで、長い列車の移動は"TARANTO"から"Via S.GIOVANNI"まで約6時間。日中の明るい日射しを浴びて見る春の風景は「世界の車窓から」気分。"Conpartimento"という6人用のボックスシートは一般的な長距離列車の座席形状。平日のせいか田舎だからか乗客は少なく、このボックスシートを2人と1頭で独占使用。窓の外には野山や農地が広がる。緑をベースに黄色やピンクが一面覆う場面もあり、初夏の陽気に旅路は極楽。時々顔を覗かせる海の色が南に移動したことを実感させる。気持ちが高まり「やる気」みたいなものが心の中に沸いてくるのは、単純すぎる性格のせいか。東京での生活が小さく思えてくるからたちが悪い。幸せは逆にそれに終わりがあることを思い出させる。また現実に引き戻される日が来ることを今は忘れるようにしよう。

夕刻、"Via S.GIOVANNI"で列車をのり継ぎ、"MESSINA"までは列車ごとフェリーで海を渡る。
"MESSINA"で下車、これでシチリア島に上陸。

p Taranto2004年03月16日(火) 
040316taranto--.jpg 500×280 29K"ALBEROBELLO"から"TARANTO"へ1時間半の短距離移動。
通過地点として選んだ街だったが想像していた「見所のない町」とは全く違うイメージで、かなり面白い"素材"があった。漁業が盛んで海軍の基地があるこの街は整った町並みの新市街と回転橋で繋がる旧市街がいろんな意味で強いコントラストを見せている。新市街は海風が気持ちいい清潔なエリア。それに対し旧市街は漁港や市場はあるもののスラム化した街区は廃墟が並び、今にも崩れそうな建物が数多く放置されたままだ。入口や窓がブロックやコンクリートで塞がれ封印された建物も多く、怪しい雰囲気満点。かといって本当に危険かと思うと普通に生活する光景もあり、再建途中のエリアもある。海沿いの道路も整備中で、おそらく数年後には新市街と同じレベルに再生されるだのだろう。
過渡期である今は我々にとって非常に興味深い光景。旧市街を見渡せるホテルに部屋をとり、旧市街を徘徊しその危うさを楽しんだ。建物の朽ちた質感や塩の匂い、南国を思わせる陽光と気温。そして本物の野良犬は群れで縄張りを守り、吠えまくられてビビる豆蔵。
民族の歴史としては紀元前8世紀まで遡るこの街には海軍施設が"もと城"だったりすること以外に特に観光で立ち寄る場所はないが、"リアル感"はかなりのもので触発されるもの多し。
対してホテルや街のレストランはとても快適で、へたな観光地よりずっと魅惑度が大きい街。再来の機会はあるか。

p Alberobello2004年03月15日(月) 
040315alberobello-.jpg 210×280 14K3月も中旬、気候が暖かくなってきたところで南イタリア1周「ぶらり列車の旅」計画を決行。
豆蔵(犬)の同行では国鉄(TRENITALIA)の特急"EURO STAR"が利用出来ないため"INTER CITY"という急行列車での低速移動がこの旅行の進行基準。
まずは"ROMA TERMINI"から"BARI"まで一気に東海岸側に突き抜け、そこから私鉄に乗り継ぎ"ALBEROBELLO"まで約7時間の道のり。ここは石を積み上げた円錐形の屋根を持つ住居があることで有名な町。せっかくなので泊まるホテルも尖り屋根のコテージにした。造形的な形状とその構造は非常に興味深いが、いかにも若い女性に人気がありそうな可愛い演出と、あまりにも観光化されすぎた町並みを見て正直興ざめした。
10年程前までは本当の意味で素朴な町並みと生活が残っていたようだが、その遍歴はほんの一角に残るのみで世界文化遺産の重みは感じられなかった。観光地として整備されすぎた町に魅力を感じないのは我々だけではないはずなのだが、立場の違いで何を大事にするかは難しい問題だろう。それにしても日本語で書かれた呼び込み看板の多いことには閉口した。
オフシーズンの上、曇り空で訪れた我々にとって安くて美味しいパスタとリゾットが食べられたことが唯一の救いだった。
きょうから10日程かけて南イタリアを時計回りで走り抜ける計画。先行き不安な滑り出し。

p S.Giuseppe2004年03月14日(日) 
040314s-giuseppe.jpg 205×280 23K昨夜の早寝で睡眠時間が繰り上がり、早朝4時に目が覚める。
普通はここでトイレにでも立ち、ふたたび横になるといつの間にまた寝入っているものだ。
ところが起きたついでにメールのチェックと返信、続いてダイヤリーを書き始めたら7時近くまでかかってしまった。
眠くない時には無理に眠ろうとしないことしにしているのだが、今日は違った。外が明るくなり鳥のさえずりが聞こえ始めてから少し横になろうとベッドに入ったら、気が付くと11時近くになっていた。決まった予定も無いので何時まで寝ようと何の問題も無いのだが、驚いたのは横に寝ている妻がその時間でも普通に寝ていたことだ。東京ではふたりとも仕事の時間が合わないので、一方が深夜帰宅で昼起床はよくあること。しかし最近は規則正しい生活が習慣になっていた。疲れが出ているのか、ただ眠いのか。
週末はダラダラの終末。
明日のチケットをテルミニ駅まで買いに出かける。
"S.Giuseppe"のお祝い。



▲ カテゴリ >> Art + Design + 建築 + + 自然 + 国際 + + + モノ + 展覧会 + + 舞台 + 映画 + 音楽 + Web + + ペット
+ Alex Moulton + Leica + M8 +自分 + 全て +
造形デザイナー安藤健浩の日々の雑感 / TADRoom Journal / CGI by nicky! /
© Copyright 2003-2010 andoo.jp. All rights reserved.